ギャラリー58の中村宏展を見る


 東京銀座のギャラリー58で中村宏展が開かれている(12月8日まで)。中村宏は1932年静岡県浜松市生まれ。初めルポルタージュ絵画という社会的な絵画を描く。砂川闘争を描いた名作が作られた。それはリアリズムとは異なり、シュールレアリズムの傾向を帯びていた。さらにモンタージュの技法を取り入れ、列車や飛行機、女学生などを組み合わせた不思議な画面を作っていく。列車に乗っている修学旅行中の女学生たちは皆一つ目だったりする。また雑誌の挿絵を描き、グラフィックの仕事も数多くこなしている。1970年代の若者たちのカリスマでもあった。
 画廊のホームページから、

このたびギャラリー58では、「中村宏展 質感と角度」を開催いたします。
中村は1950年代より社会状況を記録した「ルポルタージュ絵画」で注目を集め、
戦後日本社会の世相や社会状況を鋭く映し出した制作活動が高く評価されています。
自らを「絵画者」と名乗り、「モンタージュ絵画」「観念絵画」など、独自の方法論によってタブローを理論化し、
新たな絵画表現を切り開いてきました。
近年は、遠近法や色彩論などの古典的な絵画技法そのものをモチーフにした作品を展開しています。
本展では 新シリーズ「質感と角度」ほか絵画とドローイング16点を展示いたします。
モチーフの質感を出すために描くのではなく、「質感」そのものを描くというパロディ的な試みに、
時間や連続性が 盛り込まれ、鑑賞者の意識と視覚に問いかけてきます。
今年86歳を迎え、今なお絵画の可能性を追求し続ける 中村宏の最新作を、ぜひご高覧くださいませ。







 中村はほぼ定期的に公立美術館で個展が企画されている。2007年には東京都現代美術館で、2010年には練馬区立美術館で個展が開かれている。86歳になるがまだまだ新作を発表しているのだ。
     ・
中村宏展「質感と角度」
2018年11月26日(月)−12月8日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)日曜休廊
     ・
ギャラリー58
東京都中央区銀座4-4-13 琉映ビル4階
電話 03-3561-9177
http://www.gallery-58.com