「東あずま」という駅名


 墨田区東武亀戸線に「東あずま」という不思議な駅名がある。なぜ漢字と仮名がごっちゃに使われているのか。なぜ素直に「東東」または「東々」と書けないのか。その答えがこの写真だ。

 東あずま駅のすぐ近くにこの「東吾嬬小学校」がある。つまり「東あずま」は元来「東吾嬬」だったのだ。吾嬬の漢字を開けば「あづま」になる。「づ」は最近使用しないようなので「ず」に直した。そういうわけで、不思議な「東あずま」駅が誕生したのだった。
 なお、東武亀戸線には始発から終点まで駅が5つある。亀戸から順に、亀戸水神東あずま、小村井、曳舟だ。乗降客数でいくと東あずまは小村井に次いで4番目となる。
 亀戸水神駅のホームには「亀戸天神の下車駅はここではありません。亀戸天神へは亀戸でお降りください」の張り紙がある。小村井駅は、江戸時代「梅園」で名高かった。香取神社の近くにあったらしい。広重の浮世絵で有名な「亀戸梅屋敷」より広かったという。
 東あずま駅は、もちろん吾嬬神社がその名の由来である。駅から1kmほど離れた福神橋近くにひっそりと鎮座している。関東でも最も古い神社であることは、もう知る人も少ない。隅田川をまたぐ吾妻橋はこの神社に参拝するために架けられた橋なのに。吾妻橋を渡って東に2kmほど行った先にこの神社があるのだ。
吾嬬神社(2006年12月24日)