曼陀羅を描く大源麻友個展を見る

 東京京橋のアートスペース羅針盤で大源麻友個展が開かれている(1月15日まで)。大源は1985年大阪府豊中市生まれ、昨年京都嵯峨芸術大学大学院を卒業している。個展は昨年の銀座1丁目のギャラリー156に次いで2回目。作家自身のテキストから、

東洋美術史における古典的な材料(絹本着彩、天然顔料など)を用いて、仏教説話、社寺仏閣の建築彩色、金魚などをモチーフにしたオリエンタリズムを想起する作品を多く制作する。
また東洋美術史において表層的に日本趣味や仏教主題を扱うことに疑問を投げかけ、両部曼陀羅をはじめとする仏画を制作し、仏教の感得を試みた上で上記の主題を扱うことをモットーにしている。

 画廊の正面の壁面に大きな作品が2点並べられている。左が金剛界曼陀羅、右が胎蔵界曼陀羅だという。胎蔵界曼陀羅には仏像が426尊が描かれている。テキストにあるように真面目に現代の曼陀羅を描いているのだ。制作に1年間かかっているそうだ。

金剛界曼陀羅

胎蔵界曼陀羅

 曼陀羅といえば前田常作を思い出す。前田の作品は曼陀羅をモチーフにした現代美術だが、大源はまさに曼陀羅を描いているのだ。他に曼陀羅を描いている作家を寡聞にして知らない。貴重な存在だと思う。
 ほかに曼陀羅をモチーフにした小品が並べられていた。


大源麻友個展
2011年1月8日(土)〜1月15日(土)
11:00〜19:00(金曜は21:00まで、最終日は17:00まで)
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アートスペース羅針盤
東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2階
電話03-3538-0160
http://rashin.net/