アートスペース羅針盤の古山由樹展を見る

 東京京橋のアートスペース羅針盤で古山由樹展「風のとおりみち」が開かれている(10月4日まで)。古山由樹は京都芸術大学日本画コースを卒業し、武蔵野美術大学通信教育課程版画コースを卒業、さらに武蔵野美術大学大学院日本画コースを修了している。今回が初個展だという。

 小山の言葉、

本作品(「風を観る―プロムナード」)は、風を“自然の息吹”として捉え、その見えない動きを視覚化しました。

約2000枚の葉が舞う絵の前を歩きながら鑑賞することで、散策する感覚に近づけるよう制作しました。

 

「風を観る―プロムナード」

「風を観る―プロムナード」

「風紀Ⅰ、Ⅱ」

「風紀Ⅰ」

「風紀Ⅱ」


 その「風を観る―プロムナード」は左右700mm(7m)もある大作。無数の木の葉が舞っていてまさに風を描いている。大胆で繊細な作品だ。

 しかし、私には「風紀Ⅰ」「風紀Ⅱ」と題された50号の作品2点が面白かった。ひとつは台所の流し、もうひとつは洋式トイレを描いている。まずこれらをモチーフに選んだことのユニークさ、そしてその描き方の省略が面白い。同時にそれらを単に斜に構えて描いているのではなく、優れて見事な作品に仕上げているのが素晴らしい。

 古山と話したら、省略の技法については雪舟など水墨画を研究したとのこと。なるほど、きちんとした裏打ちがあるのだった。

 木の葉の動きで風を描いている作品は伝統的な作風で完成度が高いと言えるが、台所の流しや洋式トイレの作品はきわめてユニークで、この後の展開が楽しみだと思ったのだった。

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古山由樹展「風のとおりみち」

2025年9月29日(月)-10月4日(土)

11:00-19:00(最終日17:00まで)

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アートスペース羅針盤

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル2F

電話03-3538-0160

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