東京銀座のコバヤシ画廊で佐藤希展「深淵」が開かれている(12月7日まで)。佐藤希は1986年神奈川県生まれ、2011年武蔵野美術大学造形学部日本画学科を卒業し、2013年同大学大学院造形研究科美術専攻日本画コースを修了、2013-2017年武蔵野美術大学日本画学科研究室助手を務めていた。
初個展は2015年銀座スルガ台画廊の「第49回レスポワール新人選抜展」、2012年に創画会展に初入選している。コバヤシ画廊では6年ぶりの個展となる。前回の作家による制作コンセプトを再録する。
川辺の風景、水面に落ちる光、滞留する空気と淀み。
それらを取り巻く情景から聞こえる音、感じる温度。
相反して、自分の中に抱く存在への不安感。
実像の風景を描きながら、それは心象風景でもある。
喪失と再生を繰り返すその風景を目の前に、目に見えない向こう側を想像し、
自身の根幹を探ることそのものの行為が、私の絵画のモチーフである。
今回大作はすべて「深淵」と題されている。正面の大きな作品がF120号×3(194cm×390.9cm)、他の3点がみなF130号(194cm×162cm)、タイトルどおり暗い林を背負った深い池か川の渕を描いている。林は昼間なのに暗く、渕はやや明るさを見せながらも静かにほとんど動きを止めているかのようだ。林の下部は薄闇に溶け入りそうでありながらも藪の灌木はしっかり描かれていて、作家が正確なスケッチを元に描いているのが推測できる。
この作品を作家の心象を忖度して文学的に解釈することができるかもしれない。しかし、造形的に見るだけでも十分面白い作品だと思う。風景画を描く画家は数多い。佐藤の描く風景画は確かに風景画の概念を抜け出しているように思われる。
・
佐藤希展「深淵」
2024年12月2日(月)-12月7日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
・
コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1F
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/