紅白図屏風と梅の木

 田舎へ行って墓の掃除をしてきた。墓の隣がずいぶん前に収穫放棄された梅林だ。私の田舎は竜狭小梅という小粒の梅の品種が中心で、梅干しではなく梅漬けにされている。この梅林もその小梅なのだが、種の先端が尖っている。それが嫌われて現在は市場価値がないとのこと、それでもう長いこと収穫放棄されているのだ。
 桜切るバカ梅切らぬバカというように、梅は小枝を切らないと極端に繁茂してしまう。この梅林の梅の木もひどいことになっている。それを眺めていると、光琳紅白梅図屏風の梅の木の枝ぶりに通じるところがあることに気が付いた。そうか光琳の梅は装飾的にデフォルメしているのではなく、写実的でもあるのだなと思ったのだった。