梅の木のカイガラムシ

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 地下鉄の外苑前駅を出て何軒かの画廊を回っていると、民家の植え込みの梅の木に黒っぽいぶつぶつが付いているのに気がついた。近づいて見てカイガラムシだと分かった。梅の木のカイガラムシで黒っぽくて粒々になっている。初めて見たがすぐタマカタカイガラムシだと分かった。いままで図鑑でしか見たことがなかった。河合省三『日本原色カイガラムシ図鑑』から引用する。

タマカタカイガラムシ Lecanium kunoensis KUWANA, 1907
雌成虫はほぼ球形、径4~5mm、強く硬皮し、光沢のある赤褐色~暗褐色で暗色の横斑があるが、死後は全体暗紫褐色となる。触角は6環節、体周縁刺毛は体前・後部では非常に長く、毛状で、中央部のものは太く、円錐形刺毛状、気門刺毛は2本、体周縁円錐形刺毛とほぼ同長であるがやや太い。気門5眼分泌孔は少数で約8個、気門周辺にのみ分布する。肛門板は幅広く、先端は尖り3~4本の長い先端刺毛と、先端から1/3ほど中央寄りに1本の背刺毛を有する。縁刺毛は各側3本、肛門板の周縁は広く網目条斑を現わす。
寄種植物および生態 〔バラ〕ソメイヨシノ、ウメ、アンズ、スモモ、カイドウ、リンゴ、ワタゲカマツカ;などバラ科植物に限定される。年1回の発生、終齢幼虫で越冬し、5月上~中旬に成熟して産卵、ふ化幼虫は5月下旬~6月中旬に発生し、葉裏に寄生するが、10月下旬~11月、落葉に先立って枝・幹に移動して越冬する。一般に個体数は多くないが、局部的に多発する傾向がみられる。カリフォルニアで被害が問題になっている。
分布 北海道、本州、四国、九州:朝鮮に分布し、カリフォルニアにも侵入・分布している。
異名 Eulecanium kunoensis KANDA
〔参考文献〕(略)

 書き写しながら懐かしかった。1980年12月発行の本書を当時何度も何度も読んで校正したのだった。あれからもう40年近くなるのだった。

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※表紙カバーの右側中央がタマカタカイガラムシ

 

 

日本原色カイガラムシ図鑑

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