東京銀座のギャラリーカメリアで堀由樹子展「森へつづく」が開かれている(10月4日まで)。堀は1971年東京生まれ、1994年に東京造形大学絵画専攻を卒業し、1995年に同大学絵画専攻研究生を修了している。1995年にJ2ギャラリー、その後なびす画廊、ギャラリー山口、ギャラリー千空間、パーソナルギャラリー地中海などで個展を開いている。
堀はいつも山や畑や木々など風景を描いている。抽象が流行した20年前から一貫して具象的な作品を作っている。とは言ってもそれは象徴的な自然風景であって、どこかボナールを思わせる穏やかな暖かい画面だ。今回は2点の連作を展示している(画廊ののスペースが広くないのだ)が、どちらも庭の一角のような植物の茂りを描いている。奥の部屋にはドローイングが展示されている。
2年前の人形町Vision'sでの個展で堀の書いたテキストを再録する。
窓の外に広がる世界を眺める。/そこには長大な時間が築いた土地の形と/人びとの営みがある。/目を凝らせば気づく速度で、/或は感知できないほどゆっくりと/留まることなく変化し続けている風景は、/人の手によって形作られるものと、/時にそれを凌駕する力、ふたつの均衡によって成り立っている。些末な事柄がつづく日常の道すがら、/ふと目を奪われ立ち止まる。/たとえば矩形で切り取ってみたとしたら、/それは美しいものになるだろうか。
堀の文体は独自のものだ。堀が造形したその美しい風景を見てほしい。
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堀由樹子展「森へつづく」
2015年9月22日(火)〜10月4日(日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)9月28日休廊
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ギャラリーカメリア
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル 5階502号室
※奥野ビルは昭和初期に建てられた古いビルで、巷房など画廊が十数軒入っている名物ビル
http://www.gallerycamellia.jp/