山本弘の作品解説(48)「沼辺」


 山本弘「沼辺」油彩、F10号(53.0cm×45.5cm)
 1978年制作。山本弘48歳、ほとんど最晩年の作品。1979年は一年中入退院をしていたし、1980年はずっと入院していたはずだ。そして1981年4月に退院し、7月に亡くなっている。
 題名の「沼辺」は沼べと読むのだろうか。近くにあった堤(つつみ)を描いている。この堤は何度も作品に取り上げられた。堤の脇に大きな水神の碑が建っていて、それもしばしば描かれている。
 画面の奥が沼の面だろうか。手前の浅葱色の線が岸辺にある何か構築物を表しているのだろうか。山本はときどき現実のモノに触発されて画面を作るが、そのモノを説明的に描くことをしないことがある。造形のきっかけになればいいと考えていて、具体的なイメージを喚起しなくてもいいと思っていたふしがある。
 しかし難しい作品だ。私にはまだよく分からない。個展会場でじっくりと実物を見てほしい。
 この作品も9月28日から銀座K'sギャラリーanでの山本弘展に展示する予定。
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山本弘
2015年9月28日(月)−10月3日(土)
12:00ー19:00(金曜日ー20:00、土曜日11:30ー17:30)
※10月2日(金)は夜8時まで開廊しています。
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銀座K'sギャラリーan
東京都中央区銀座1-13-4 大和銀座ビル6F
電話03-5159-0809
http://ks-g.main.jp/
1階が鈴木美術画廊でホテルサンルートの前。
※7月に京橋から移転しているので注意。