山本弘の作品解説(43)「鳥(仮題)」


 山本弘「鳥(仮題)」油彩、F4号(33.3cm×24.2cm)
 水色で描かれているのが飛んでいる鳥だ。その下の緑色の逆V字の山型やバツは何だろう。樹木とか草原を表しているのだろうか。上の方にも引っ掻いたようなバツがある。
 飛んでいる鳥の背景の色彩がすばらしい。山本弘は珠玉のように美しい小品をたくさん描いたが、そのほとんどが売れてしまった。これは残っているものの一つだ。つくづく山本は色彩の美しい画家だったと思う。そして筆触がとてもいい。
 1977年制作の作品だから、山本弘47歳ということになる。1979−81年制作の作品はほとんどないので、これらが最晩年の作品になる。右下に「弘」と漢字でサインが入れられている。晩年は漢字でサインをしたり、ときに「ヒロシ」とサインしたりした。最晩年には無署名の作品もある。あの几帳面だった山本弘が! と驚いてしまう。
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ドローイングと油彩小品による−山本弘
2014年7月15日(火)〜7月21日(月・祝日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)日曜日休み
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ギャラリー403
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
電話03-3535-5733