山本弘の作品解説(86)「夏雲」


 山本弘「夏雲」、油彩、F3号
 これは25年ほど前に撮った写真、作品そのものは購入してくれた人の遺族から骨董屋に渡ってしまい、その骨董屋の手も離れたという。カラー写真の色が少し褪せていて、元の色彩と違っているかもしれない。
 制作年は晩年の頃だと思う。3号という小品ながら力強い山容が描かれている。地元飯田市の西北にそびえる風越山を描いたものだろう。こんな部屋に飾ったらいいような小さな作品もたくさん描いていたのではないか。さすがにそれらは人手に渡っていたらしく、亡くなったときほとんど残っていなかった。『夏雲』と対になるような3号の『夏草』という作品もあったが、あれは何処にいってしまったのだろう。