今日7月15日、山本弘展が始まる


 今日から銀座のギャラリー403で山本弘展が始まる(7月21日まで)。そして今日は山本弘33年目の祥月命日なのだ。1981年のこの日山本弘は51歳で亡くなった。私が19歳、山本さんが37歳の時に初めて会って14年間の付き合いだった。正確にはリアルな14年間の師弟関係だった。亡くなってから33年経つが、リアルではなく今も師弟関係は続いている。もう私の方が15歳も年上になってしまったが、私が弟子であることには変わりがない。
 若い頃、私はとくに絵に強い興味を持っていたわけではない。山本のもとへ通い出したのも絵への興味ではなく、実際に目の前に見る無頼派のようなデカダンを生きている画家に惹きつけられたからだった。山本家では朝からお茶代わりに酒が出た。それも一升瓶に入ったウイスキーがストレートで、茶飲み茶碗に水もなしで。
 しょっちゅう通っていれば山本の絵を見ることになる。よく分からない抽象的な作品を。飯田市の公民館で開かれた個展も手伝った。受付をしていると、山本の友人からあんたが受付では客が入ってこないよ、なんて言われもした。
 亡くなった後も田舎に帰省するたびに未亡人を訪ね、山本の遺作を見せてもらった。わざわざ押入から出してくれるのを詫びると、未亡人は私も見ることができるからいいのよと言ってくれた。そうやって山本の作品を25年前後見続けてきた。未亡人と二人で、弘さんて本人の言っていたとおり天才だったねと言い交わしていた。
 実は亡くなって何年もしてから山本の絵の素晴らしさが分かってきた。いつの間にか私のなかで、絵=美術作品の基準が山本弘になっていた。もう20年以上銀座を中心に画廊を回って生意気なことをブログにも書いているが、いつも山本弘の絵を基準にして見ているようだ。
 今日から始まる山本弘展で、不肖私の美術に対する基準が何なのか確認してください。私の美意識は山本弘のこんな絵で形成されてきたのです。
 10年前に書いた山本弘へのオマージュ「山本弘、わが敬愛する画家の思い出」が下記。
帰燕せつなき高さ飛ぶ(2006年6月29日)
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ドローイングと油彩小品による−山本弘
2014年7月15日(火)〜7月21日(月・祝日)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)日曜日休み
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ギャラリー403
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル4F
電話03-3535-5733