山本弘のドローイング2題




 東京銀座の銀座K'sギャラリーanで山本弘展が開かれている(10月3日まで)。ここに2点のドローイングが並べられている。若い娘のポートレートと道化だ。娘のそれはきれいな線で描かれている。ほれぼれするようなポートレートに仕上がっている。対して道化は荒い線で描かれている。
 若い娘の作品にはサインの横に66.5.29と制作日が書かれている。以前、未亡人の愛子さんから聞いた話では、1966年頃酒の飲み過ぎでか脳血栓を起こし、その後遺症で言語障害と手足の不自由を引きおこしたとのことだった。娘のドローイングは明らかに手が自由の頃のものだ。すると、脳血栓になったのは1966年6月以降だったのだろう。山本はこの年の6月15日に36歳になっている。
 道化は裏面に1970.2と書かれていて、すでに手が不自由になった状況で描かれていることが分かる。殴りつけたような激しい強い線だ。不自由な手で描かれたこのドローイングはおもしろいものに仕上がっている。脳血栓の発病前と後の、二つのドローイングが並んだところを見てほしい。
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山本弘
2015年9月28日(月)−10月3日(土)
12:00ー19:00(金曜日ー20:00、土曜日11:30ー17:30)
※10月2日(金)は夜8時まで開廊しています。
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銀座K'sギャラリーan
東京都中央区銀座1-13-4 大和銀座ビル6F
電話03-5159-0809
http://ks-g.main.jp/
1階が鈴木美術画廊でホテルサンルートの前。
※7月に京橋から移転しているので注意。