Yu Haradaの渡辺志桜個展を見る

 東京曙橋のYu Haradaで渡辺志桜個展「おほやけ/Filial 1 Hybrid」が開かれている(7月13日まで)。渡辺志桜里は1984年東京生まれ、2015年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業し、2017年に同大学大学院を修了している。2017年以来、SYPギャラリーやWHITEHOUSEなどで個展を繰り返している。

 ギャラリーのホームページより、

本展では、二つの異なるシリーズを通じて、身体と制度、個体と系譜、自然と技術といった、私たちを取り巻く「かたち」への根源的な問いを投げかけます。

 

『おほやけ』シリーズについて

『おほやけ』は、歴代天皇の姿をガラスの能面として可視化するプロジェクトです。

「おほやけ」とは、古代において内裏(だいり)すなわち天皇の住まいを指し、また「公」という概念においては共同体が集う「大きな家(やけ)」の意を含んでいます。能舞台の屋根の様式としてもその象徴は受け継がれています。渡辺はこの語の重層的な意味を手がかりに、天皇を「生態系と人間中心主義のはざまで揺れる存在」として捉え、その姿を透過性のあるガラスの能面に昇華させます。

今回は、既発表の近現代3代(明治・大正・昭和)に加え、実在が定かでない25代以前の中から、神武、神功、仲哀の三天皇を新たに制作し、全6点を展示します。実在と象徴、制度と身体、歴史とフィクションが交差する本作は、「おほやけ」が内包する不可視の構造を静かに浮かび上がらせます

 

『Filial 1 hybrid』シリーズについて

『Filial 1 hybrid』は、スーパーで販売されているF1種の野菜を再生し、花を咲かせ、その「生殖器」を記録する作品です。

F1種とは、異なる固定種同士を掛け合わせて作られた「雑種第一代」のことで、均一な発芽・成長・収穫を目的に流通に最適化された形で生産されています。しかしその次世代、いわゆるF2種では遺伝子がばらつき、味や形の均一性が失われ、自家栽培も難しいことから市場に出ることはほとんどありません。

渡辺はこの経済的かつ生物的な制約を逆手に取り、F1野菜を「リポベジ」(Reborn Vegetable)として再生させ、生殖器としての「花」が開いた瞬間を写真に収めます。今回はニンニクを用いた作品を展示。人為的な交配・制御と自然の生命力のせめぎ合いを、静謐で挑発的な視点から記録しています。

 

大正天皇

明治天皇

神武天皇

神功皇后

神功皇后

昭和天皇

仲哀天皇

F1のニンニク


 6人の天皇のガラスで作られた能面が展示されている。将来的にはすべての天皇の能面を制作する予定だとのこと。

 透明なガラスで作られているので、どこまで実像が正確に再現されているのか分からなかった。しかし極めて興味深い企画だと思う。

 F1野菜を育ててそれを撮影するというのも面白そうだが、F1世代が作物として商品にならないのはその通りで、それを写真で表現するのは難しいかもしれないと思う。私も現実にF1世代の作物を見たことはないが、F1が商品にならないと言うことは、味の問題だったり、形や大きさだったり、収量の問題だったりするのだろう。しかし、それらを渡辺がどう表現するのか見て見たいと思う。

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渡辺志桜個展「おほやけ/Filial 1 Hybrid」

2025年6月14日(土)-7月13日(日)

13:00-19:00(月・火・水曜休廊)

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Yu Harada

東京都新宿区住吉町10-10

電話03-6555-2483

https://www.yuharada.com/