Chim↑Pom結成10周年

 今年がChim↑Pom結成10周年だと、朝日新聞が取り上げていた(2015年9月30日夕刊)。

 ユーモアを含む手法で社会の根底を問う作品は美術ファン以外からも関心を集め、タブーに触れる表現は時に議論も呼ぶ。若手美術家集団「Chim↑Pom(チムポム)」は今年、結成10周年。近年は積極的に震災に向き合う彼らに、表現活動への思いを聞いた。

 そうか、もう10年にもなるのか。私は8年前から彼らを見てきたが、これは将来ビッグになるかもしれないと思ってきた。
 最初に見たのが高円寺にあった無人島プロダクションでの発表で、青木ヶ原から取ってきたという太い枝にビニール紐が垂れ下がっているのが天井から吊り下げられていた。実際に誰かが首を吊った枝だという。遺体はなかったが、付近に産卵していた遺書などを回収して展示もしていた。このとき彼らのパフォーマンスを記録したDVDも買ってきた。
無人島プロダクションのChim Pom 「オーマイゴッド」展が面白かった(2007年8月6日)
 翌年NADiffが移転し、移転記念にChim↑Pomがそのビルの地下に水を張り空ペットボトルや板きれ、発泡スチロールなどを浮かべていた。環境問題を提示しているのだ。
NADiffの移転オープンとChim ↑ Pomの個展(2008年7月23日)
 その年、ギャラリーhiromi yoshiiで、ギャラリーの中に作られた7平方メートル(2畳強)ほどの密閉された部屋に、メンバーの一人水野俊紀が、カラス1羽、ドブネズミ1匹と8月9日から30日までの22日間、一度も外へ出ることなく生活するという企画が行われた。
Chim↑Pomの個展「友情か友喰いか友倒れか/BLACK OF DEATH」がすごい(2008年8月17日)
 2009年の無人島プロダクションの個展では、画廊の入っているビルの前のJR中央線の高架の向こう側にビルが見えた。そのビルの屋上のさらに上にある給水塔のその上に忍者の格好をしたChim↑Pomのメンバーの一人が立ってパフォーマンスをしている。個展の会期中、開廊時間中ずっと立ってパフォーマンスをしていた。
無人島プロダクションのChim↑Pom展(2009年8月9日)
 2011年には深川へ移転した無人島プロダクションで、福島原発事故をテーマにした個展をしていた。
無人島プロダクションのChim↑Pom展「REAL TIMES」(2011年5月21日)
 2013年には表参道の岡本太郎記念館で展示。岡本敏子が保管していた太郎の小さな遺骨をギャラリーの暗い一室に展示していた。
岡本太郎記念館のChim↑Pom展「PAVILION CHIMPOM」を見る(2013年5月12日)
 最近では福島原発でのパフォーマンス映像作品が東京国立近代美術館に収蔵されている。ビッグへの路を歩んでいるようだ。