富田武『ものがたり戦後史』を読む

 富田武『ものがたり戦後史』(ちくま新書)を読む。第2時世界大戦以後の戦後史を、日本史と世界史に分けなくて、総合的に捉えて書いている。「はじめに」によると、2022年から高校社会科歴史科目が改変され、1年時の2単位必修科目として「歴史総合」がスタートした。従来の日本史、世界史を総合したものだという。

 本書は、高校で担当する先生方のために、さらに授業開始後は知識欲旺盛で、問題意識のある高1生も念頭に、参考書として執筆したものだという。

 全15章は、「第2次大戦と日本の敗戦」「占領下改革と新憲法」「戦後復興と朝鮮戦争」「日本の独立と55年体制成立」「安保闘争から高度成長へ」「ベトナム戦争と世界」「高度成長の矛盾と石油危機」「70年代のヨーロッパ」「70年代のアジアと日本」「イスラム勢力の台頭」「新自由主義と日本の大国化」「ペレストロイカと冷戦終結」「中国の改革・解放と東アジア」「ポスト冷戦の日本」「21世紀に入って」と、ほぼ戦後史を網羅している。コンパクトで読みやすい構成だ。

 日本史と世界史を一望できて、参考文献はすべて新書のみ。コラムもエピソード中心で面白かった。

 ひとつささいな校正ミスを指摘する。「平均1町歩=約1万ヘクタール=100メートル四方」とあるが、これは1万ヘクタールでなく、1万平方メートルの誤り。(52ページ)