東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2021」が始まった(10月23日まで)。西成田は茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形している。
今回数年ぶりに中心となる作品が床にへばりつくように置かれている。このところ何年かは立像が中心だった。今回も立像はあるが、脇役の役回りだ。
床に置かれた作品は古着やパイプや大黒像まで組み込まれている。それらが固められていて、一見おぞましい印象だ。しかしよく見ればワニの顔にも見えるし、どこか聖性を宿している。西成田の作品の特徴はその内側からにじみ出るような聖性だろう。
観音様が卑しいものにやつして現世に現れ、これはと見込んだ正しく貧しい者の前にその聖なる姿を現わす、まさにその一瞬を造形しているのではないか。
壁に掛けられた「象」はこれまたインドのガネーシャを思わせる。西成田の作品はどこまでも聖性と切り離せない。
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西成田洋子展「記憶の領域2021」
2021年10月18日(月)-10月23日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515