東京日本橋小伝馬町のJINENギャラリーで本山智香子展が開かれている(10月31日まで)。本山は1989年東京都出身。2014年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、2016年に同大学大学院油画・技法材料第一研究室を修了している。2013年から東京や台湾の画廊で個展を行った後、2015年からこの画廊でもう7回も個展をしている。
本山はトラやワニ、キノコやカエルなどを描いているが、そのパーツは女性の下着でできている。イタリアの画家アンチンボルドが野菜や果物の寄せ集めで人物像を描いたと同様にリアルな下着の組み合わせで動物やキノコを造形している。その下着の表現が美しく本山の描写力に感嘆する。
本山はきれいな下着が好きでそれを描きたいのだろう。しかし直接下着を描くのではなく、パーツとして描くという方法を採っている。優れてソフィストケートされた手法だ。下着を取り上げるというちょっとエロティックな内容で、しかもそれがだまし絵のように別のものを表現するということで下品さを免れている。むしろ美しいと感じるのは、優れた表現力によるのだろう。色彩の美しさも特筆ものだ。色彩は天分だと言われている。
大作のトラやワニも面白かったが、小品の美しさに心奪われた。ユニークで優れた作家だと思う。
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本山智香子展
2021年10月19日(火)-10月31日(日)
12:00-19:00(金曜20:00まで、最終日16:00まで)月曜休廊
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JINENギャラリー
電話03-5614-0976