東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2020 “コルセット”」が開かれている(11月14日まで)。西成田は1953年茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形している。
今回は古いコルセットが使われていた。タイトルにもなっているそれは、亡くなった兄が使っていたものだという。
画廊の中央に置かれた今回の主役はどっしりした土台を持って立ち上がっている。頭部にあたる部分は人の顔のようにも見えるが、顔にしてはおぞましいかもしれない。ところがそれがよく見ると美しいから不思議だ。西成田はいつも一見醜悪な造形に聖性を与える魔法の手を持っているかのようだ。その醜悪さは人間の根源的な悲しみに対応し、それが同時に聖性を帯びているのだ。
他に、3つの口=穴を持った立体や、どこか貝類などの軟体動物を連想させる小品も興味深い。年々優れた造形を完成させ続ける西成田の錬金術に感嘆する。
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西成田洋子展「記憶の領域2020 “コルセット”」
2020年11月9日(月)-11月14日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515