橋本幸士『物理学者のすごい思考法』を読む

 橋本幸士『物理学者のすごい思考法』(インターナショナル新書)を読む。月刊『小説すばる』に連載したエッセイをまとめたもの。雑誌見開き2ページの短いエッセイを本書4ページに組んでいる。

 「すごい」思考法と謳っているが、「変わった」思考法くらいが妥当じゃないだろうか。エスカレーターは片側立ちをやめて歩かないようにしましようという運動に対して、橋本はエスカレーターの段差を2倍にするという提案をする。そうすれば駆け上がることはできなくなるだろう、と。でも香港のエスカレーターは片側立ちではなく、皆両側に立っていた。理由はエスカレーターのスピードが日本の2倍くらい速いからだった。

 イベントに参加したとき、子どもの頃は何をしたら橋本先生のような科学者になれるでしょうかとの質問を受けた。橋本は即座に「レゴ」と答えたが、建築家やアーティストといった他の参加者も「レゴ」と答えた。

 小学生の時の趣味は迷路を描くことだったという。実は私も同じ趣味を持っていた。でも60年前はコピーなどないので、苦労して描いた迷路も誰かが線を引きながら解くと一度で使えなくなってしまって虚しかった。

 橋本はズボンのポケットにハンカチを入れっぱなしにしている。ハンカチはズボンのポケットの中で一緒に洗濯も乾燥もされている。

 

 ぼくはズボンを2本しかもっていない。しかもその2本は、全く同じジーパンである。それぞれのジーパンのポケットには、常にハンカチが入っている。そして、ハンカチは、かなりの汚れが付着した時にしか、洗濯の時には別々にしない。

 

 ふだんハンカチを使うのはトイレに行って手を洗った時か、メガネに埃がついたときにぬぐった時で、それぞれ1日に1回あるかどうかだという。ということは「大」の時は手を洗うが「小」の時は手は洗わないのだろう。ま、いいけど。

 私は読書記録を付けていて、読後感の評価をAA、A、B、Cでランク付けしている。本書は「B」とした。