アートプログラム青梅2014「まなざしを織る」を見る(その1)

 青梅市でアートプログラム青梅2014「まなざしを織る」が開かれている(12月8日)。青梅市立美術館、青梅織物工業協同組合、吉川英治記念館などを会場としている。これは4つの大学の学生たちの展示「想いを紡ぐ街」と同時開催の企画で、学生ではなくプロの美術家たちの作品を展示している。
 まずJR青梅線青梅駅で降りて青梅市立美術館へ向かった。ここには美術家たち10名の作品が展示されている。それらの作品を紹介する。


 中津川浩章
 パンフレットのテキスト:「欠損・記憶・身体」など3・11以降の在り方を描くことを通じて表現します。
 中津川は昨年の板橋区立美術館の「発信//板橋//2013 ギャップ・ダイナミックス」への参加など、優れた発表が目立っている。そろそろ大きな会場での個展を見たいと思う。


 母袋俊也
 パンフレットのテキスト:浅間山をモデルに描いた《TA・ASAM》《壁画ドローイング》《枠窓》の重層展示。マルチディスプレイ=画中画、像の多重性を通して「像の現出性」の顕現を試みる。
 母袋の作品は難しい。ある実在の1点に仮想の「見晴らし小屋」を構想する。そこに作られた窓から浅間山の稜線を捉えるドローイングを描く。その14メートルもあるドローイング(今回の展示では右側を省いている)にタブローを重ねている。母袋の作品は単純に描いたものではなく、独自の構想の結果から生まれている。とはいえ、それは観念的に構想したものではなく、母袋特有の「絵画思考」とも言うべきものだ。

 マルティン・ファウゼル
 パンフレットのテキスト:私の描く人物像は、さまざまなしがらみから開放され、心理的ディメンズィオーン(次元)である空間と対応(応答)している。

 小滝雅道
 パンフレットのテキスト:「点」や「線」の始源を、その粒子の衆縁和合を、粒子遠近法によって、例えば霧箱や泡箱のように表現した。

 原田丕
 パンフレットのテキスト:大荷田で、定点観測を続けているが…………。


 酒井祐二
 パンフレットのテキスト:墨を含ませたシーツを紙の上に置きます。紙に残された墨の滲みという自然現象の背後に、まだ知らない構造の存在を予感します。


 加納光於
 テキストはなし。大御所が平面作品のほかに立体を出品している。コンクリート製の円筒に加工して、着彩している。


 山口啓介
 テキストなし。台に置かれたアクリルケースの中に立体のオブジェと版画が入っている。壁面にはドローイングや油彩作品が貼られている。作品タイトルが「星座−糸/縁空」とか「シースルーボックス(核融合)」などとなっている。


 山路紘子
 パンフレットのテキスト:今回で12回目のアートプログラム青梅ですが、初めて見たのは大学院生の時でした。映画の看板が印象的な青梅駅で降りて少し歩いたところに青梅市立美術館があり、そこに展示します。

 川越悟
 パンフレットのテキスト:彫刻と空間の関係性について、水の流れ、漂う空気、透過する光の量などのイメージを複合的に取りこみながら、検証し表現した木彫作品。
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アートプログラム青梅2014「まなざしを織る」
2014年11月8日(土)→12月7日(日)
青梅市立美術館
青梅織物工業協同組合施設(BOX KI-O-KU、SAKURA FACTTORY、更衣室)
吉川英治記念館(ここのみ11月30日まで)