奥多摩の青梅市でアートプログラム青梅2015「感性を開く --- 一人ができること」が開かれている(11月15日まで)。これはプロの作家たちの展示で、青梅市立美術館、旧稲葉家住宅、青梅織物工業協同組合、都立青梅総合高校、吉川英治記念館などを会場としている。また3つの大学の学生たちの市内各地での展示「線を超えるか−溶け込む違和感−」と同時開催になる。
まずJR青梅線の青梅駅で降りて青梅市立美術館へ向かった。ここの市民ギャラリーには美術家たち2名の作品が展示されている。それらの作品を紹介する。
清原亮
パンフレットのテキスト:ヒロシマのきのこ雲や核実験の画像などをモチーフに、絵画における意味性の表現の可能性、不可能性について制作しています。
中田有華
パンフレットのテキスト:インクを和紙の表から裏へ透過させ、まわりこませる。そこから生まれるイメージを大切に制作しました。
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つぎに旧稲葉家住宅の展示を見る。ここは戸谷成雄と作間敏宏の作品が設置されている。
戸谷成雄
木彫作品。チェーンソウで作られた山脈を思わせる作品。
作間敏宏
住宅の裏手の蔵のなかに設置されているインスタレーション。数百点かと思われる古ぼけた肖像写真らしきものを展示している。何だか第二次世界大戦の頃の戦死者の写真を連想した。
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都立青梅総合高校の講堂の裏手には梯子のような立体作品が置かれている。母袋俊也の「ヤコブの梯子・青梅」と題された作品だ。
パンフレットのテキスト:(……)AP青梅に参加して9年目の今回は野外に出る。空を切り取る高さ5mの《ヤコブの梯子》で青梅の空を捉える。
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青梅織物工業協同組合に行く。BOX KI-OKUとSAKURA FACTORYの二つの建物に展示がされている。まずBOX KI-OKUから。
川鍋達
パンフレットのテキスト:柱状の構造物による可動式のインスタレーション。観者とモノ、場との関係を接続し、空間や量感など、認識の体感、共有を試みています。
玉川みほの
パンフレットのテキスト:変化する自然。生き抜くために日々変容し、次の世代に引き継ぎ消滅していく。その循環、瞬間の様子を表現したいです。
ほかに鈴木光の映像作品が上映されていたが、部屋が明るく長時間の作品なので見なかった。
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SAKURA FACTORYでは3人の作家が展示している。
鋤柄大気
麻のひもを手で編んで作った作品。円筒のようだったり、カメのように底があったりする。一見機能性があるように見せながら純粋に造形だけの存在。ある意味デュシャンのレディーメードの真逆だ。レディーメードは本来機能を持った製品を、これはファインアートなんだと、その機能を無視したもの。
宮本万智
テキストには、母のウェディングドレスから再生される「家族」の名の物語、とある。
二藤建人
巨大な器状の作品。「反転の山−個として個々を想う−」とある。
鋤柄の背後の壁に内田あぐりの大きなドローイングが展示されていた。
吉川英治記念館へは遠いのを理由に行かなかった。
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アートプログラム青梅2015「まなざしを織る」
2015年10月17日(土)→11月15日(日)
青梅市立美術館
青梅織物工業協同組合施設(BOX KI-O-KU、SAKURA FACTTORY)
旧稲葉家住宅
都立青梅総合高校