アートプログラム青梅2014「まなざしを織る」を見る(その2)

 青梅市でアートプログラム青梅2014「まなざしを織る」が開かれている(12月7日まで)。青梅市立美術館、青梅織物工業協同組合、吉川英治記念館などを会場としている。昨日の青梅市立美術館に続いて、青梅織物工業協同組合の展示を紹介する。
 青梅織物工業協同組合では3カ所に分かれて展示している。「BOX KI-O-KU」と「SAKURA FACTORY」、それに「更衣室」だ。
 まずBOX KI-O-KUを見る。大隅秀雄とカナイ サワコ、戸谷成雄の作品が展示されている。

 大隅秀雄
 パンフレットのテキスト:やさしい風、いじわるな風、あたたかい風、つめたい風、かわいた風、しめった風。風は生きている。風は人の心を揺さぶり人を動かす。
 作品は屋内の展示なので、部屋の隅に設置した送風機から風を送っていた。




 カナイ サワコ
 パンフレットのテキスト:「ここ」ではない「どこか」。その曖昧で流動的な場所を「ここ」にある存在(作品)を通して考えています。
 京橋〜銀座の藍画廊で何度か個展をしている。紗のカーテンの向こうに静かなオブジェが設置されている。どこか内藤礼の世界に通じている気配がする。


 戸谷成雄
 パンフレットのテキスト:ただ今製作中。1m80cmの角材から5つの塊を掘り出し五言絶句に見立て、何行になるかは未定。
 ちゃんと数えて来なかった。4行だったろうか。会場できちんとパンフレットを読めばよかった。
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 つぎに更衣室の作品を見る。作間敏宏が一人で展示している。




 作間敏宏
 パンフレットのテキスト:苛酷な環境から作物を護る「皮膜」としてのビニールハウス、外なるもの/内なるものの「表象」としての家−−その再考として。
 ビニールハウスとは言うものの、豚の生皮で作られている。皮には無数の穴が開けられている。以前同じ様な作品が銀座のギャラリー巷房で展示されたが、今回は奥行きのあるスペースなので、ハウスの向こう側まで鉄の骨格が伸びていて、ハウスが壊れているような成長途中のような印象を受ける。また建物の窓も穴を開けられた豚皮で覆われていて、それは閉塞状況のようにも見える。作家は「苛酷な環境から作物を護る「皮膜」としてのビニールハウス」と言っているが、同時にそれは「生命」の抑圧装置としても機能するようにも思えるのだ。ビニールではなく、穴の開いた豚皮が使われていることからも、テキストの言葉を素直に首肯しがたい気がする。
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 SAKURA FACTORYは2人の作家が展示をしている。


 木村幸恵
 パンフレットのテキスト:現実の空間に、不可視な情報(記憶、想念など)を、半透明なレイヤーとして重ね合わせ、場の見え方にゆすぶりをかける。
 木村は初期の「所沢ビエンナーレ」でも一貫してこの技法で制作していた。


 浅野彌弦
 パンフレットのテキスト:ヒトガタの型を再生装置に見立て、「型」をもとに展開した彫刻を中心に制作。「在る」を問うための作品。
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 「まなざしを織る」は青梅市立美術館とこの青梅織物工業協同組合のほか、吉川英治記念館でも開催されていたが、そちらへ回る時間がとれなくて見ることができなかった。この記念館は少々離れていて、青梅線二俣尾駅まで乗り、そこから15分くらい歩かなければならない。
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アートプログラム青梅2014「まなざしを織る」
2014年11月8日(土)→12月7日(日)
青梅市立美術館
青梅織物工業協同組合施設(BOX KI-O-KU、SAKURA FACTTORY、更衣室)
吉川英治記念館(ここのみ11月30日まで)