ギャラリーアビアントの及川伸一展を見る

 東京吾妻橋のギャラリーアビアントで及川伸一展が開かれている(10月11日まで)。及川は1949年東京生まれ。1980年から1992年まで独立美術に出品していたが、1992年からは個展を主な発表の場所としている。これまでギャラリー汲美、ギャラリーテムズ、ギャラリーゴトウ、ギャラリー砂翁&トモス、Shonandai My ギャラリーなどで発表してきた。今回は2019年のギャラリー砂翁での個展から2年ぶりになる。

 久しぶりに見る及川の作品だが少し変化していた。何か強い主張のようなものが感じられた。及川はミニマル的な傾向があったので作品はいつも静かで、声高に主張する印象はなかった。それが今回声高な主張をしているというのではないが、内面的な何かが現れているような印象だ。及川によると、久しぶりなので自分の持っている初期からの傾向をいろいろやってみたとのこと。もちろんすべて新作だ。

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 前回の個展に際して書いたことを再録する。

 及川は具象的なものを嫌う。純粋に抽象的な形だけで作品を成立させることを目指していて、それは成功していると思う。いつの個展でもどの作品でも完成度が高い。およそ破綻というものがない。

 具体的な形に頼ることなく、しかし形を完全に手放すことなく作品化している及川の仕事は、とても貴重に思われる。最小限の形=形態=イメージでマンネリに陥ることなく制作を続けていくことは、おそらく端で見るよりはるかに大変なことなのだろう。

 ただ、いつも完成度が高いと書きながら、そのことに不平を言うのはおかしいが、時には及川の破綻を見てみたい気もする。

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及川伸一展「―まよいこと―」

2021年10月2日(土)―10月11日(月)

11:00-19:00(日曜日及び最終日17:00まで)無休

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ギャラリーアビアント

東京都墨田区吾妻橋1-23-30-101

電話03-3621-0278

http://abientot.main.jp/

※浅草駅から吾妻橋を渡って徒歩4分