美術のシステムとは何か

 ガルリSOLで個展をしている秋山一郎さんと話した。峯村敏明さんの講演会での発言を引いて「制作の背後にはシステムがある」の意味について、抽象とか具象を作家(画家)が主体的に選ぶのではなく、作家はそのようなシステムの中に生まれ落ちるということではないかと話した。そして昔はそのシステムが抽象だったのに、最近はそれが具象になっている。ことさらシステムを飛びだそうとか壊そうと思わなければ、現代の若い作家は具象を描くのではないかと言った。それに対して秋山さんは、最近の若い作家は平面としての具象を描いているのではなくて、映像ではないかと言う。平面として構成しているのではなく、映像を描いているのだと言う。平面には構成があるが、映像にはそれがないと。いつも思うことだけれど、作家の思考は深い。
 さて、そのシステムに戻ると、時代のシステムがすでにあり、作家はその中に産み落とされる。ある時代は抽象であり、ある時代はニューペインティングなのだ。作家はそのシステムの中で仕事を始めるが、中には反抗して自覚的に別のシステムを選ぶ作家もいる。少数だが。