スウェーデンの城


 昔見た映画「スウェーデンの城」をもう一度見たいと思ってAmazonのDVDを検索した。なかった。「悲しみよこんにちは」のフランソワーズ・サガンの戯曲が原作で、ブリジット・バルドーカトリーヌ・ドヌーヴジェーン・フォンダなど錚々たる美女たちと仲良くした華麗なる2流監督ロジェ・ヴァディムが監督した「スウェーデンの城」、しかし映画としての出来は今一歩だった。
 また見たいと思ったのは主演のモニカ・ヴィッティが好きなこととテーマ音楽が好きなためだ。昔その音楽がドーナツ盤のレコードになっていて、A面のテーマを編曲したB面が好きだった。Amazonではヨーロピアン・ジャズ・トリオが演奏する「CHATEAU EN SUEDEスウェーデンの城)」というCDに8,000円の値段が付いていた。これももちろん持っているが、オリジナルに比べるとやはり物足りない。

 スウェーデンの城の曲はいろいろな演奏家で聴いた。それで分かったのは曲がいいのではなく、B面のアレンジが良かったのだ。リズムを崩したピアノが良かった。
 映画の原作者フランソワーズ・サガンもちょっとバカにされている風があるが、彼女の小説のエピグラフに掲げられていたマクベス夫人の台詞「そんな風に考えてはいけない、そんなことをしたら気違いになってしまう」は大江健三郎の小説の中で、ある小説のエピグラフとして引用されていた。大江もサガンを読むんだと意外に思った。
 そういえば、この台詞は私も落ち込みそうになったときに思い出していたものだった。