ギャラリー58で石川湖弓・柏倉風馬展を見る


 東京銀座のギャラリー58で石川湖弓・柏倉風馬展が開かれている(10月8日まで)。2人とも東北芸術工科大学出身だ。このうち、石川湖弓について紹介したい。
 石川は1994年、山形県生まれ。2016年に東北芸術工科大学芸術学部美術科洋画コースを卒業し、現在同大学大学院修士課程洋画領域1年在籍中。東京では初めての発表となる。画廊に石川のコメントが貼られていた。

猥雑さの中に安らぎを求めている気がする。
子供のころの白昼夢のようなエロティシズム。




 湖弓はこゆみと読み、若い女性だ。作品はここに紹介した3点とも男性のヌードを描いているという。ペニスがはっきり描かれている。それがとても意欲的に思えて紹介したいと思った。
 女性作家が大胆な表現を試みることは意味がある。それは少なくとも彼女の世界観が常識に囚われていないことを表している。画家にとって巧みな技術、上手い絵を描く技術は一般に高く評価される。しかし、上手い絵は意外と退屈なものでもある。それに対して、世界観=何を描くかということには大きな意味があると考える。常識的でない世界観は独特の表現に至るだろう。
 草間彌生も初期にはペニス状のものをびっしり付けたボートや家具を制作していた。ハンス・ベルメールの仕事の評価と描かれているエロティックなテーマは切り離すことができない。ただきれいな日本画の花鳥風月や美女が退屈なだけであることは、もう半ば定説であると言い切っても良いのではないか。
 石川の作品に違和感を覚える人はまだ多いかもしれない。批判される機会もあるだろう。しかし、めげることなくこの道を進んでほしいと思うのだ。微力ながら私は支持したい。
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石川湖弓・柏倉風馬展
2016年10月3日(月)−10月8日(土)
12:00−19:00(最終日17:00まで)
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ギャラリー58
東京都中央区銀座4−4‐13 琉映ビル4F
電話03-3561-9177
http://www.gallery-58.com