コバヤシ画廊の坂本太郎展を見る


 東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(10月24日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャラリーアートポイント、ギャラリー山口などで毎年個展を続けてきた。最近はコバヤシ画廊で発表している。




 画廊の中央に黒く塗られた大きな物体が鎮座している。木彫作品で一見何だか不愛想に見える。だがその存在感はハンパなものではない。大きな鯨が横たわっているようだ。表面にはボルトとナットが埋め込まれている。たくさんの銛が突き刺さって傷ついた鯨のようにも見える。
 坂本ははじめ大きな象の木彫を作っていた。それが徐々に抽象的な形に変わってきた。しかし完全に無機質な抽象作品ではなく、どこか具象的な形に繋がっているように見える。具象彫刻から始まって、この抽象的な作品に変化してきたことはとても良いことだと思う。抽象的な形の奥に具象的なものが見えて、坂本の作品の奥行きを形成しているからだ。
 一見不愛想なごろんとした形だが、表面に削り跡が残されていたり、数多くのボルトとナットが埋め込まれていたりして、豊かな表情を作っている。
 坂本は毎回少しづつ変化をしている。それは見る側には思いがけない変化だが、変化の結果を見せてもらえば、なるほどこういう方向に展開しているのかと納得させられる。現代の優れた彫刻家の一人と言えるだろう。
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坂本太郎
2016年10月24日(月)−10月29日(土)
11:30−19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/