コバヤシ画廊の坂本太郎展がとても良い

 東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(3月31日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャラリーアートポイント、ギャラリー山口などで毎年個展を続けてきた。最近はコバヤシ画廊で発表している。





 画廊の中央に黒く塗られた大きな木彫作品が置かれている。幅3700mm、奥行2600mm、高さ2600mmもある。重量は1トン弱とのこと。20個ほどの楠のパーツを組み合わせている。しかし数字以上にその存在感に圧倒される。と同時にどこか有機的な印象を与える造形が興味深い。いつもどおり大きなボルトとナットが重要な構造の一部となっている。また丸い鉄のリングがらせん状に上方に連なっていて、これが造形的な表情のみならず製造時の吊下げ用にも利用されているという。
 構造全体に反時計回りの動きがあり、壮大な木の造形とそこに穿たれたボルトやナット、突き刺さった鉄の輪、また木の表面に多くのノミの跡が残されていて、それがまた作品に豊かな表情を与えている。見飽きないとても興味深い造形がここにある。
 長い間坂本の作品を見てきたが、どこまでも進化している印象がある。しかしこれは坂本の大きな達成ではないか。見事な造形だと思うのだ。
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坂本太郎展―voice−
2018年3月26日(月)―3月31日(土)
11:30−19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/