『フェルマーの最終定理』を読む

 サイモン・シンフェルマーの最終定理』(新潮文庫)を読む。フェルマーの最終定理は次のように書かれている。

 (xのn乗)+(yのn乗)=(zのn乗)
 この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。

 17世紀の数学者フェルマーが上記について、メモを書き残していた。

 私はこの命題の真に驚くべき証明をもっているが、余白が狭すぎるのでここに記すことはできない。

 以来世界中の数学者たちが、この最終定理の証明に挑戦したが、誰もどんな天才数学者も成功しなかった。本書はピタゴラスからの数学の歴史を要領よくまとめながら、ついにフェルマーの最終定理が証明されるまでの歴史を綴っている。
 そんなことを聞けばなんだかうっとうしい内容ではないかと思うかもしれないが、とても面白く読むことができた。文庫本でほぼ500ページもあるのに、最後まで興味をそらさない。数学を語ってこれだけ面白いのはエピソードが豊富だからだ。
 フェルマーの最終定理の証明には日本人数学者も大きな貢献をしている。谷山豊だ。志村五郎との研究「谷山=志村予想」と言われる研究の重要性が私にはよく分からないが、著者が1章を割いて紹介している。しかし、谷山は婚約直後自死してしまう。31歳だった。なお、谷山についてはWikipediaに取り上げられている。
 フェルマーの発見したものに「友愛数」があるという。すると、小川洋子が『博士の愛した数学』を書いたのは本書を読んだからではないだろうか。
 本書裏表紙の惹句に「感動の数学ノンフィクション」とある。まさにその通りだった。


フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)