Stepsギャラリーの古藤典子展を見る

 東京銀座のStepsギャラリーで古藤典子展「図書館でみる夢」が開かれている(10月4日まで)。古藤典子は1954年埼玉県浦和市生まれ、1979年に武蔵野美術大学大学院を修了している。みゆき画廊、ギャラリーQ、ギャラリー檜などで個展を重ね、ギャラリー現では何度も個展を繰り返してきた。最近はStepsギャラリーで個展を続けている。

(部分)


 今回古藤は画廊で作品集を配布している。そこに書かれた古藤のテキストより、

自分は絵画と物質の境界に関心を持っています。そしてその境界に振動する絵画の内面を追いかけているのです。/奥に深まろうとする絵画の内面と、平面であり続けようとする絵画の表層、この表層における内面と物質との葛藤。/絵画の内面にとどまらず、空間を内包する存在を生み出すことができないものでしょうか。

見渡せば、絵画と物質の出会いは、様々な表現のその数ほど展開されています。自作もそのひとつです。/絵画は支持体の上になんらかの形をとらねばなりません。/自分にとって描く行為とは、行為そのものに意味があるのであり、描かれた結果が、意味を表すわけではありません。

鉛筆は、その行為を的確に受け止めてくれる素材として使っているのです。/絵の具には物質を超えた色彩という大きな意味があります。色彩に対し自分の態度を決めかねているうちに、鉛筆という素材に出会いました。/鉛筆にも色があります。がそれは素材としての色です。自分にはその鉛筆という素材のもつ物質としての色が、限りなく魅力的に感じられたのです。/鉛筆を素材として制作は2001年かねこ・あーとギャラリーでの展示以来続いています。

鉛筆による制作は、様々な現象との出会いでもあります。自分は行為によって画面上に現れ出てくるものを現象と考えています。/時間と空間を内在させる現象としての絵画。現象に内在する物質の内面。/それは自分の考える絵画の内面そのものなのです。

 

 今まで何度も古藤の個展を見てきたが、その造形的な美しさを評価していた。古藤の制作に対するコンセプトを知ったのだった。きわめて知的な作家だと知った。

     ・

古藤典子展「図書館でみる夢」

2025年9月24日(水)-10月4日(土)

12:00-19:00(土曜日17:00まで)日曜休廊

     ・

Stepsギャラリー

東京都中央区銀座4-4-13琉映ビル5F

電話03-6228-6195

http://www.stepsgallery.org