恵比寿の東京都写真美術館で「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」が開かれている(9月24日まで)。
展覧会のちらしから、
本展は、その膨大な作品群から、妻、「陽子」というテーマに焦点をあてた展覧会です。荒木自らが「陽子によって写真家になった」と語るように、1960年代の出会いから1990年代のその死に至るまで、陽子はもっとも重要な被写体であり、死後もなお荒木の写真に多大なる影響を与え続けてきました。本展では、陽子を被写体とする写真や、その存在を色濃く感じさせる多様な作品を通して、荒木が重要視している被写体との関係性を探り、また彼の写真の神髄である「私写真」について考察していきます。展覧会タイトルの「センチメンタルな旅1971−2017−」とは、1971年に出版された私家版の写真集に始まり、現在へと続いている荒木経惟の私写真、そしてその写真人生そのものを表しています。
アラーキーが陽子さんを撮った写真はあちこちで目にしてきたが、こうしてまとめて見られると陽子さんが他人の気がしなくなってきた。陽子さんに焦点を当てるという企画がとても良かった。
それにしてもアラーキーは巧い写真家ではない。本当は巧いのかもしれないが、巧さを出すことに興味を持っていない。アラーキーが『アサヒカメラ』とか『日本カメラ』の月例写真に投稿したらおそらく入選しないだろう。写真の巧拙は実のところ写真の価値にあまり影響しないのではないか。昔はアラーキーと競っていた篠山紀信が現在はアラーキーのはるか後塵を拝している。自殺した妻を撮った古屋誠一の写真だって、巧拙で語られているのではない。撮影技術の問題ではなく、写真家の人生観とか思想というものが大事なのだろう。
古屋誠一については、次のレビューを見てほしい。
・小林紀晴『メモワール』を読む(2013年4月20日)
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「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」
2017年7月25日(火)→9月24日(日)
10:00−18:00(木・金は20:00まで)
月曜休館日
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東京都写真美術館
東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話03-3280-0099
http://www.topmuseum.jp
JR恵比寿駅東口より徒歩7分