早稲田大学會津八一記念博物館の「受贈記念 コレクター寺田小太郎―難波田龍起、相笠昌義を中心に―」を見る

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  東京早稲田の早稲田大学會津八一記念博物館で「受贈記念 コレクター寺田小太郎―難波田龍起、相笠昌義を中心に―」が開かれている(7月30日まで)。博物館のホームページから、その概要を、

 

当館は2010年と2019年に故寺田小太郎氏(1927-2018)のコレクションから合計150余点の作品をご寄贈頂きました。これを記念し、展覧会を開催致します。

1987年頃、寺田氏は新宿区の再開発に伴い創設されることとなった東京オペラシティ アートギャラリーへの寄贈を目的として、作品の収集を始めました。画家難波田龍起(1905-1997)の作品と出会ったことで「東洋的抽象」という収集方針が形成されますが、寺田氏の興味が一つ所に留まることはなかったようです。「日本的なるもの」、「人間とは何か」という問いを根底におきながら、自らの考えに基づいて作品の収集を続けました。最終的にそのコレクション総数は約4500点に上るといわれています。

本企画展では、難波田龍起、その次男である史男、そして、相笠昌義の作品を中心に、加納光於、鈴木竹柏、村上友晴、李禹煥など寺田氏が収集した幅広い作家たちの作品約100点を展示します。また、寺田氏の周囲にいた方々の話を共に紹介することで、コレクター寺田小太郎の一端に触れたいと思います。

  

 東京オペラシティアートギャラリーに寺田は4,500点ものコレクションを寄贈したのか! 主ギャラリーの上階に寺田コレクションの所蔵品展会場がある。寺田のコレクションの中心が難波田龍起だった。大作が多く全部で300点もあるようだ。また難波田史男の作品も多い。寺田は難波田の良い作品を収蔵しているという印象を受けた。

 相笠は3年前に、その寺田コレクションでまとめて見ることができた。その印象は次のとおりだった。

 

 現在所蔵品展は「日常生活|相笠昌義の眼差し」が開かれている。大きな部屋2室を使った大規模なものだ。相笠もあちこちで少しずつ見てきたが、まとめて見たのは初めてだった。駅で電車を待つ人とか、動物園で、海水浴をする人、交差点で待つ人など、遠景の人たちを描いている。少女の顔は岸田劉生描く麗子像のようにややつぶれている。色彩が沈んでいて地味なのだ。華やかさがどこにもない。上手な画家ではないと思う。

 今回五木田智央展と相笠昌義展が開かれているが、おもしろくないことが二人に共通していた。

 

 難波田を「東洋的抽象」と呼んでいる。1点、2点を見ていると優れた抽象画家だと思ったが、世田谷美術館での回顧展を見たとき、ほとんど同じような画面が並んでいて、その創造性の貧困さにがっかりしたことがあった。

 寺田小太郎は東京オペラシティに広大な土地を提供するなど、大変な資産家だった。コレクターの条件である資産家という条件は満たしていた。しかし、難波田も相笠も、彼らをコレクションの中心に据えるというほどの作家ではなく、コレクション全体も甘い印象が否めなかった。

 會津八一記念博物館のコレクション展は小品が多く、あまり見ごたえのあるものではなかった。

 東京オペラシティアートギャラリーの寺田コレクションの所蔵品展は、以前は主会場のチケットを買わなければ見る事ができなかったが、私が寺田に直訴して所蔵品展だけのチケットを作ってもらった。200円だった。でも宣伝が行き届かないせいではないかと思ったが、所蔵品展だけを見に来る客は1日に10人くらいとかで、寺田が亡くなるとその制度もなくなってしまった。

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「受贈記念 コレクター寺田小太郎―難波田龍起、相笠昌義を中心に―」

2021年5月17日(月)―7月30日(金)

前期:5/17―6/22、後期:6/28-7/30

10:00-17:00

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會津八一記念博物館

東京都新宿区西早稲田1-6-1 早稲田キャンパス2号館

電話03-5286-3835

https://www.waseda.jp/culture/aizu-museum/news/2020/12/23/3308/