ギャラリー川船の「S氏コレクション売立展」

 東京京橋のギャラリー川船で「S氏コレクション売立展」が開かれている。(25日まで)。
 主に近代美術のコレクターであったS氏が、もうご自身の高齢のためコレクションを手放すのだという。数十点並べられたコレクションは、みな品のいいものばかりだ。特に高額なものは少ないが、長谷川利行三岸好太郎なども並んでいる。それが驚くほど安いのだ。
 眼についた作品を挙げてみると、曾宮一念(12F、×万円)、須田刻太(4F、×万円)、岡田謙三(4F、×万円)、菅野圭介(8F、×万円)、寺田政明(6F、×万円)、長谷川利行(8F、×万円)、三岸好太郎(8F、×万円)、脇田和(8F、×万円)、三岸節子(8F、×万円)、立石鉄臣(=タイガー立石、4F、×万円)、ほかにデッサンで5千円というのもあった。いずれも買った時の3分の1以下だろうとのこと。
 このようにコレクターのコレクションが市場に出ることは良いことだと思う。どんなに良いコレクションでも所詮はプライベートコレクションだ。まとめて美術館に入れるほどのものではない。「気まぐれ美術館」の洲之内徹コレクションだって、エッセイで有名でなかったらまとめて見せるほどの意味があるだろうか。T画廊のN氏のように、美術館は作品の墓場だ、市場に出てこそ作品は生きている、という主張はいささか極論だが、個人のコレクションはまず市場に出て、それらのうちの数少ない名品が美術館に収蔵されるのが理想だろう。



「S氏コレクション売立展」
2010年9月21日(火)〜25日(土)
11:00ー19:00 無休(23日も開廊)


ギャラリー川船
東京都中央区京橋3-3-4 フジビルB1F
電話03-3245-8600
http://www.kawafune.jp/


※川船さんとの約束で、会期終了後値段を削除した。