トーキョーワンダーサイト本郷で江川純太展が始まった

 お茶の水駅近くのトーキョーワンダーサイト本郷で江川純太展が始まった(8月25日まで)。ここは都営の施設で、若い作家たちにギャラリーを提供して、1カ月間個展をさせている。1階から3階までの会場で今回も4人の作家たちが展示を行っている。概ね1人は会期中ギャラリーで制作を続ける企画があって、今回は江川純太が会場で絵を描いている。
 江川純太は1878年神奈川県生まれ、2003年に多摩美術大学日本画専攻を卒業している。シェル美術賞2008入選、トーキョーワンダーウォール2010/2011入選、第7回大黒屋現代アート公募展2012にも入選している。2010年から毎年、神楽坂のギャラリーeitoeikoで個展を行っている。
 会場にはS100号のキャンバスを持ちこみ、初日から描き始めている。私が行った8月6日は描き始めて3日目で、ちょうど3作目に取りかかっていた。許可を得て完成した作品と制作中の江川を撮影させてもらった。観客が見ていても気にならないという。作家たちの制作中の姿など、所沢ビエンナーレで女子学生が木彫の制作をしている以外見たことがなかったので、おもしろかった。会場の一角に江川の言葉が貼られていた。

大事なのは、時間と距離である。行為は衝動的であろうと理性的であろうと、瞬間の判断に委ねられる。今、信じていたものが次の瞬間には信じられなくなることは度々起こり、破壊してはまた絵の具の物質感を確かめる。瞬間の積み重ね、圧縮された時間、行為や判断の重なりが、一つの画面、表面となり、あなたの瞬間と対峙する。絵画は表面を見せ、時間を隠し、見えるもの見えないものは入り乱れ、あなたとの距離を生む。瞬間の会話に言葉は追いつけない。

「絵画は表面を見せ、時間を隠し」なんておもしろいことを言っている。今月の半ば頃にはほぼ完成する予定とのことだから、その頃また行ってみよう。





 トーキョーワンダーサイト本郷では、江川のほかに同時に松井沙都子展と市川紗也子展、それに改田憲康展が開かれている。松井沙都子展と市川紗也子展もおもしろかった。

松井沙都子展

市川紗也子展
       ・
江川純太展・松井沙都子展・市川紗也子展・改田憲康展
2013年8月3日(土)−8月25日(日)
11:00−19:00(月曜休館)
       ・
トーキョーワンダーサイト本郷
東京都文京区本郷2-4-16
電話03-5689-5331
http://www.tokyo-ws.org
お茶の水駅、水道橋駅本郷三丁目駅からそれぞれ徒歩7分