ハマナスかハマナシか?



 近くの植物園にこんなプレートが立っている。

ハマナシ 浜梨
通称 ハマナス
バラ科 バラ属
分布=北海道〜本州(銚子、鳥取の沿岸まで)〜東北アジア一帯
海岸性 花は香料・薬用 実食用

 普通使われているハマナスが通称であるとして、ハマナシ(浜梨)の名を採用している。このハマナシについて、『広辞苑』では、

はまなし【浜梨】バラ科の落葉小低木。わが句に北部の海岸砂地に自生。高さ1m半に及ぶ。幹枝にはとげを密生。葉は羽状複葉。夏、紅色5弁のバラに似た芳香ある美花を開き、花後、扁円形の果実を結ぶ。甘酸味あり。根皮は黄色染料に、花は矯味矯臭薬となる。はまなす。漢名、玫瑰。

 同じく『広辞苑』で「ハマナス」は

はまなす【浜茄子】ハマナシ(浜梨)の訛。〈季・夏〉

 ハマナス牧野富太郎が東北で採集したとき、現地の人に名前を訊いたら、ハマナシのつもりで訛ってハマナスと答えたのを、そのまま採用したという話を読んだことがある。その著者はだからハマナシとするべきだと強い調子で主張していた。