六本木の国立新美術館で開かれているアメリカン・ポップ・アート展を見た。アメリカに住むジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻の個人コレクションだという。代表的なポップ・アーティストの優れた大作が揃っていて本当に見事な展覧会だと思う。展覧会のちらしから、
アメリカのポップ・アートは、1960年代以降、現在に至るまで、様々な面で美術や文化に大きな影響を与えてきました。コロラド州を本拠地とするジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻は、ポップ・アートが評価を確立する以前からその真価を見抜き、パトロンとして作家を直接支援することによって、アート・シーンに大きく貢献するとともに、個人所蔵としては世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げました。本展は、夫妻のコレクションの中から、アンディ・ウォーホルの最高傑作《200個のキャンベル・スープ缶》をはじめ、ラウシェンバーグ、ジョーンズ、リキテンスタイン、オルデンバーグ、ローゼンクイスト、ウェッセルマンら、巨匠たちの1960年代の傑作を含む、絵画、彫刻、素描、版画等、約200点により、アメリカン・ポップ・アートを総合的に紹介するものです。本国アメリカ合衆国の美術館でも実現していない、コレクションの全貌の紹介は、世界的にも注目される待望久しい貴重な機会となるでしょう。
ちらしの表がその《200個のキャンベル・スープ缶》だ。ちらしは「アンディ・ウォーホルの最高傑作、(……)それはまさに、ポップ・アートの『モナ・リザ』」と謳っている。本展の目玉だろう。
主だったポップ・アーティストの大作をまとめて見られたのはとても良かった。本当に得難い貴重な経験ができたと思う。一口にポップ・アートと言っても、リキテンスタインやジャスパー・ジョーンズのように優れた作家もいれば、アンディ・ウォーホルのように名声の割りには案外つまらない作家もいることが分かって、やはりまとめて見ることは有意義だった。
ウォーホルはキャンベル・スープ缶を描き、モンローやジャクリーヌ・ケネディ、毛沢東、電気椅子や花を描いて成功を収めた。その後、一般人からの依頼に応じて、彼らの肖像を版画作品に仕上げている。本展のコレクターのキミコ・パワーズを描いた作品も展示されている。
だが、某氏が言ったように、ウォーホルの作品は正にアメリカのキッチュな土産物に似ている。アメリカの代表的な画家の作品というアウラを除いてみれば、三流のポップ・アーティストであるキース・ヘリングと大きな懸隔がないように思えるのは偏狭なオヤジの偏向した意見だろうか。
とまれ、アメリカン・ポップ・アートの大きな見取り図を得られる本展覧会は、現代美術に興味があれば見逃すことができないだろう。
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アメリカン・ポップ・アート展
2013年8月7日(水)−10月21日(月)
10:00−18:00(金曜日−20:00まで)
休館日 毎週火曜日
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国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木7-22-2
http://www.tbs.co.jp/american-pop-art2013/