八丁堀のギャラリーで松本真由子展「混在」を見る

 東京中央区八丁堀のギャラリーFUMA CONTEMPORARY TOKYO / BUNKYO ARTで松本真由子展「混在」が開かれている(9月20日まで)。松本は1982年、千葉県生まれ。2009年に東京京橋のギャラリー be Tokyoで初個展を開いたほか、岡本太郎現代芸術賞展やトーキョーワンダーウォール、アートフェア東京、アート台北などに参加している。
 2009年のギャラリー be Tokyoの個展では、切り抜いた動物などの絵を床に敷きつめていた。今回は四角いタブローが2点、切り抜いたのを床ではなく壁に並べたのが1点、「だんしじょし」と題した立体が1点、それに別室に小品が1点展示されている。




 松本は優れた描写力を持っている。スーパーなどに並んでいる肉を精密に描いている。すき焼き用の肉や、しゃぶしゃぶ用の肉、ステーキ用や塊肉もある。それらが画面を覆い尽くす一方、肉の合間に郊外の住宅風景や公園で遊んでいる子どもたち、草むしりをしているような人たち、日常的な家族の姿を描いている。スーパーに並んでいる商品としての肉と小市民的な家族のコラージュ。これはある種シュールリアリズム的な不思議な作品だ。ただ、シュールリアリズムと断定するには、マニフェストを叫ぶ絵画運動の力みがない。何か肩の力が抜けているような、好きで描いているというような軽みが漂っている。作品そのものは隅々まで描き込まれた力作なのだが。つまり、理論優先で描かれているのではないということなのだろう。
 以前の動物の切り抜きの中に描かれた絵も、やはり商品としての肉と郊外の風景が組み合わされていた。そいう意味では松本のテーマは一貫している。
 立体作品「だんしじょし」はちょっと変わった作品で、小さなフィギュアを寄せ集めてペニスと睾丸を作っている。これは遊んでいるのだろうか。会期はまだ10日以上ある。ぜひギャラリーへ足を運んで見てほしい。
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ギャラリー・ビー・トウキョウの松本真由子展(2009年11月22日)
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松本真由子展「混在」
2013年9月6日(金)−9月20日(金)
11:00−18:30(日曜・月曜・祝日休み)
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FUMA CONTEMPORARY TOKYO / BUNKYO ART
(フマ・コンテンポラリー東京/文京アート)
東京都中央区入船1-3-9 長崎ビル9F
電話03-6280-3717
http://www.bunkyo-art.co.jp
東京メトロ日比谷線・JR京葉線「八丁堀」駅A2番出口より徒歩2分
東京メトロ有楽町線新富町」駅5番出口より徒歩4分
桜川公園近く、ローソン並び