文京アートの中村宏展を見る

 東京八丁堀の文京アート FUMA CONTEMPORARY TOKYOで中村宏展が開かれている(5月27日まで)。中村宏は1932年静岡県浜松市生まれ。初めルポルタージュ絵画という社会的な絵画を描く。砂川闘争を描いた名作が作られた。それはリアリズムとは異なり、シュールレアリズムの傾向を帯びていた。さらにモンタージュの技法を取り入れ、列車や飛行機、女学生などを組み合わせた不思議な画面を作っていく。列車に乗っている修学旅行中の女学生たちは皆一つ目だったりする。また雑誌の挿絵を描き、グラフィックの仕事も数多くこなしている。1970年代の若者たちのカリスマでもあった。
 今回大きなスペースRoom Aではドローイング展「少女騒乱」が、小さなスペースRoom Bではタブロー展「色価と奥行」が展示されている。
 まず「少女と騒乱」について、DM葉書のテキストから、「その中で登場する女学生は、1970年代以降、絵画の構造を見せる装置と化す。本展では、中村宏の代表的モチーフである女学生が縦横無尽に騒乱する新作ドローイングを発表する」とある。すべて新作なのだ。いつもの一つ目の女学生も登場する。






 ついで「色価と奥行」について、これもDM葉書のテキストから、「Room Bでは、新シリーズとなる「色価と奥行」のタブローを展示。色の質とその対比で絵画内世界の奥行を表現する」とある。




 中村の黄色は、1990年以降描かれている道路工事の立入禁止の黄色と黒の段だら模様の強烈な黄色を思い出す。これまた新作を展示している。とても贅沢な個展だと思う。
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中村宏展「少女騒乱」「色価と奥行」
2017年5月10日(水)−5月27日(土)
11:00−18:30(日曜・月曜休廊)
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文京アート FUMA CONTEMPORARY TOKYO
東京都中央区入船1−3−9 長崎ビル9階
電話03−6280−3717
http://www.bunkyo-art.co.jp
地下鉄日比谷線・JR京葉線 八丁堀駅A2番出口より徒歩2分
地下鉄有楽町線 新富町駅5番出口より徒歩4分