LIXILギャラリーの奥村昂子展「−あれを作る−」の変な立体


 東京京橋のLIXILギャラリー(旧INAXギャラリー)がビルの改装を終えて、9月2日からリニューアルオープンした。その最初の個展が奥村昂子展「−あれを作る−」だ(9月28日まで)。
 奥村は1984年東京生まれ、2008年に東京造形大学彫刻専攻を卒業し、2012年に東京芸術大学大学院絵画専攻を修了している。造形大在学中からさまざまなグループ展に参加しているようだ。
 今回はギャラリーの天井まで届く大きな立体作品を展示している。これが布で作った男性像だ。布製なので崩れないように天井から吊っている。その横にはやはり布製の小便小僧がお決まりのポーズで立っている。彫刻のような立体なのに布製だから、何だかちょっとふざけているようにも感じられる。



 このような「ソフト・スカルプチャー」といえば、オルデンバーグの作品を思い出す。水洗トイレや家具などをふにゃふにゃのビニールで作っていた。またソフト・スカルプチャーとは違うが、アルミメッシュを使って人物像を作っている菱山裕子がいる。
 奥村の作品はオルデンバーグとの共通性を思わせる。しかしオルデンバーグの作品が現代文明への批評を感じさせるのに対して、奥村はそれよりもむしろ強固な石彫やブロンズへの批判といった側面を感じさせる。
 菱山のアルミメッシュの人物像にも一見似ているように思うが、菱山に感じられる見るものへの媚びが奥山には感じられない。
 そういった意味で、若くして独自の作風を見せていると思われる。さて、これからどんな方向に展開していくのだろうか。楽しみな作家である。
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奥村昂子展「−あれを作る−」
2013年9月2日(月)〜9月28日(土)
10:00〜18:00(水曜日休館)
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LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 LIXIL GINZA 2F
電話03-5250-6530
http://www1.lixil.co.jp/gallery/
東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分
東京スクエアガーデンの中央通りを隔てた向かい
警察博物館の並び