木戸龍介展が興味深い


 東京京橋のLIXILギャラリーで木戸龍介展が開かれている(1月28日まで)。木戸は1984年東京都出身、2009年に多摩美術大学彫刻学科を卒業し、2011年に東京芸術大学大学院彫刻専攻修士課程を修了している。ギャラリー1/3や東京ワンダーサイト本郷などで個展を開いたほか、ヨーロッパやタイなどのグループ展に参加している。






 今回はギャラリー内にテーブル状の台を並べ、その上に小さなオブジェを置いてている。よく見るとそれは電気のスウィッチだったりレゴだったりする。モデルガンみたいなものもある。
 それらは実際の製品から型どりしてお香で作ったものらしい。いくつかは火を付けて燃していて、灰になっている。モデルガンも模されて細部が崩れ何か象徴的な様相を見せている。
 灰になったオブジェは壊れやすく、展示が終わったあとの移動には耐えないという。そう言う意味では同じものの再現はできない。これもある種のインスタレーションだ。
 レゴでありスウィッチでありモデルガンであるが、すべてお香で作られたレプリカで、しかもその存在は一時的で火を付けられれば燃やされて薫りと灰になってしまう。今回ギャラリーに作品を設置した後で香を焚いたらしい。ギャラリーの空間いっぱいにお香の薫りが充満したのだろう。
 オブジェという一見堅固な形を選びながら、実は一時的な仮の存在であるという、なかなか印象的な作品を作っている。作品を前にして振り返ってみれば、すべてのものが移ろっていくことに気付かされる。とても興味深い展示だった。
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木戸龍介展「スウィッチ 押すの 押さないの どっちなの」
2014年1月7日(火)−1月28日(火)
10:00−18:00(水曜日休館)
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LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル2階
電話03-5250-6530
http://www1.lixil.co.jp/gallery/
地下鉄銀座線京橋駅徒歩1分
(旧INAXギャラリー