村上画廊IIの柴田和あらかると展を見る

 東京京橋の村上画廊IIで柴田和あらかると展が開かれている(6月25日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代は堀内康司(実在者)らと一緒に活動していた。1963年、読売アンデパンダン展で出品拒否を受ける。翌年から空間創りを街中に移し、環境美術の提唱者となる。
 2015年4月にギャラリー川船(東京京橋)で開催された「現代美術 俯瞰展」出品作家の一人。同展は、美術史に埋もれつつある前衛作家たちを取り上げる内容で大きな反響を呼んだ。続けて、本年2月初めに銀座洋協ホールで大々的に開催された「戦後美術の分水嶺Part II」展の出品作家としても選出された。また2月には中和ギャラリーで個展も行っている。
 渓流釣り師としても名を馳せ、「しばた和」名義で釣り関連の多くの著書がある。







 今回も過去の大きな立体作品のマケットのような再制作と、最近のドローイングを並べている。ドローイングは意図しないで描いた線から顔が現れるのを待って、最終的に顔の絵を完成させている。
 箱に収めたような立体=オブジェは日常的なモノを使って、非日常的な形を生み出している。箱を使っていながら、ジョゼフ・コーネルに見られる物語性やロマンチシズムに遠いのは、柴田がリアリストであるからだろう。事実、若い頃環境美術に進んだあとは、街中でディスプレイ的な作品なども手がけていた。文章も書き、口もたち、若い作家への指導にも情熱を傾けている。82歳とは思えない元気さはただ恐れ入る。
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柴田和あらかると展
2016年6月20日(月)〜6月25日(土)
12:00〜19:00(最終日17:00まで)
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村上画廊II
東京都中央区京橋3-5-4 吉井ビル2F
電話 080-3011-5725
※吉井ビルは警察博物館LIXILビルの間を入った先の右側