「60〜70年代 現代美術 俯瞰展」が始まる

 東京京橋のギャラリー川船で今日から「60〜70年代 現代美術 俯瞰展」が始まる(5月2日まで)。本展はコレクターの川谷登が中心となって企画し、今回出品した数人の作家たちが賛同して、ギャラリー川船の画廊主川舩氏の協力を得て開催されることになった。その趣意書から、

60年代頃からの美術運動は、旧弊を打ち破るために幾つかの小グループが攪乱しました。表現の違いこそあれ、その時代を考え、人の立場から人間とは何か! を考慮したものでした。が、美術史の中に埋もれてしまいつつあるのも、現実です。
最近の若い作家たちが当時のことを知ることも知る社会も無いことを、密かに危惧しています。美術運動はひとつひとつの達成の上に次の展開へと繋がっていくものと信じ、今回の展覧会を企画することにしました。

 この展覧会に参加した作家は9人。年齢順に斉藤義重(1904−2001)、元永定正(1922−2011)、篠原有司男(1932−)、中沢潮(1932−)、柴田和(1934−)、小島信明(1935−)、荒木経惟(1940−)、眞板雅文(1944−2009)、小林はくどう(1944−)となる。
 簡単に紹介すれば、斉藤義重は日本の前衛美術の草分けのひとり。もの派の作家たちを多く育てた。
 元永定正は具体美術の作家。「たらしこみ」に似た平面作品で高い評価を受けている。
 篠原有司男(ギューちゃん)はネオダダの作家。ボクシング・ペインティングやオートバイの立体が代表作。近年彼のドキュメンタリー映画『キューティ&ボクサー』が話題になっている。
 中沢潮は時間派を結成。1962年の読売アンデパンダンで、観客が白布の上を歩くと下のビニール袋が破れ染料が広がる作品を出品し、美術館から撤去された。
 柴田和は1963年の読売アンデパンダンで出品を拒否される。翌年から空間創りを街中に移し、環境美術を提言する。
 小島信明は読売アンデパンダンで活躍した作家。米国国旗を頭から被った男の立体が有名で東京国立近代美術館の常設展でもしばしば展示されている。現在アメリカのミネソタインディアナポリスの国際アートセンターで開かれている「インターナショナル・ポップ」に選ばれて作品が展示されている。とくに4月16日付けニューヨークタイムズの1面には小島の作品がカラーで大きく取り上げられた。(下の写真参照)
 荒木経惟アラーキーの愛称で有名なカメラマン。展示されている写真は無名だった頃世話になった柴田和に贈ったもので、貴重な当時のオリジナル・プリント。
 眞坂雅文は青年ビエンナーレのグランプリ作家。1971年国際美術展のグランプリを受賞。ヴェネチア・ビエンナーレ、パリ・ビエンナーレにも出品した。
 小林はくどうは、大阪万博に緑の布を被ってユーモラスに動く「はくどうマシーン」を出品し話題になった。現在ヴィデオ作家として活躍している。

 左上:荒木経惟、左下:斉藤義重、中左上:篠原有司男、中左下:小島信明*、中右上:小林はくどう(はくどうマシーン)*、中右下:柴田和、右上:眞坂雅文、右下:元永定正
 (なお、*印は参考図版で今回出品されている作品とは別)
 私も主に広報担当としてスタッフの一員に加わった。

 写真は小島信明を紹介するニューヨーク・タイムズ
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「60〜70年代 現代美術 俯瞰展」
2015年4月20日(月)〜5月2日(土)
11:00〜19:00(日曜・祝日休廊、最終日17:00まで)
初日17:00よりオープニングパーティーの予定。
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ギャラリー川船
東京都中央区京橋3-3-4 フジビルB1
電話03-3245-8600
http://www.kawafune.jp/