東京京橋のLIXILギャラリーで西野康造展「Space Memory」が開かれている(5月27日まで)。西野は1951年兵庫県生まれ、1977年に京都市立芸術大学彫刻専攻科を修了している。数々の彫刻展などで受賞をしており、国内外に彫刻作品が設置されているベテランの立体作家だ。
ギャラリーに入ると何やらダイナミックな造形が空間一杯に広がっている。金属で作られた軽やかな円環がそれだ。よく見ると天井から吊っているだろうと思われた糸とか針金とかが見当たらない。手前に置かれたL字型の黒い支持体だけで、これだけの大きな円環構造体を支えているようなのだ。
受付の女性に訊くと円環はチタン製で重量も10kg程度なので、1カ所の支持で十分なように作られているとのことだった。驚いた。チタンは割合に軽いのでこのようなことが可能だという。それにしても……。
今回の作品について西野が語っている言葉が、パンフレットに紹介されている。
(……)いつも場所に合わせて制作するので、今回は直径5.9m、重さ10kgの円環が壁から会場全体に形をのばした作品になる予定です。
僕は空気や風を感じさせるものを作ろうとしていますが、僕の彫刻は、大いなるものに抱かれながら生きている人間をも表現するものであって欲しいと思います。決して冷たいものでなく、僕自身の体温が見る人に伝わればといつも願っています。
見事な造形で本当に驚かされた。この構造が力学的に可能だということが一番の見どころだろう。何度も回りを歩いてみたのだった。
ただ、ちょっと付け加えれば、ファインアートというよりモニュメントといった印象が強かった。「位相−大地」の作家、もの派の関根伸夫がモニュメント制作の会社を立ちあげて社長に納まったエピソードを思い出した。
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西野康造展「Space Memory」
2014年4月18日(金)〜5月27日(火)
10:00〜18:00(水曜日休館)
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LIXILギャラリー
東京都中央区京橋3-6-18 東京建物京橋ビル2階
電話03-5250-6530
http://www1.lixil.co.jp/gallery/
地下鉄銀座線京橋駅徒歩1分
(旧INAXギャラリー)