ギャルリー東京ユマニテbisの奥村浩之展を見る

 東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで奥村浩之展―「風と波」そして奥能登・再生への思い―が開かれている(1月25日まで)。奥村浩之は1963年石川県金沢市生まれ、1986年金沢美術工芸大学美術学部彫刻科を卒業し、1988年同大学大学院修士課程を修了している。1989年メキシコに渡る。以来メキシコ在住。1991年メキシコのギャラリーで初個展。以来、メキシコ、アメリカ、フランスなどで発表している。日本では2013年、2015年、2017年にギャラリー1/fで個展をし、ここギャルリー東京ユマニテでは2020年に続いて3回目となる。一昨2023年は「奥能登国際芸術祭」にも参加して海岸に大きな作品を設置した。その直後に能登半島地震が襲い、作品の一部が欠ける被害を受けた。

 ギャラリーのホームページから、

2023年には石川県珠洲市で開催された「奥能登国際芸術祭2023」に幅5m、高さ3mの大作「風と波」を出品し、日本海を望む海岸沿いの風景に溶け込みながらも存在感を放つ作品は好評を博しました。

2024年1月1日に発生した能登半島地震により、奥村の作品が設置された鰐崎海岸は隆起し、海岸線が海側へ大きく広がり、作品付近まで地割れが発生しました。幸いにも作品は倒壊することなく、一ヶ所の角が長さ60cmほど破損した以外、目立った被害はありませんでした。

本展では、「風と波」に関連した新作彫刻5点に加え、破損して欠け落ちた岩塊を出品いたします。「風と波」の石膏マケットの他、制作過程や被災後の現状報告など、写真や映像によるドキュメントも展示する貴重な機会となりますので、ぜひご高覧いただきますようお願いいたします。

 

「風と波」のマケット

※参考 「風と波」の写真


 新作彫刻は小品だが、とても見応えがあるものだ。設置されている台の高さがやや低く、小品であることからつい見下ろしてしまう。作品の高さに目線を合わせて見ると、さすがに見事な空間を作っている。

 奥能登の作品「風と波」は現物を見ていないが、写真で見る限り石灰岩で作られた300×500×200cmという大きな岩のような風景は、作品としてもモニュメントとしても、奥村の生まれ故郷の近くに設置されていることが大きな意味を持っている。日本における奥村の代表作がここにあると言って良いだろう。

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奥村浩之展―「風と波」そして奥能登・再生への思い―

2025年1月14日(火)-1月25日(土)

10:30-18:30(最終日17:00まで)日曜日休廊

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ギャルリー東京ユマニテbis

東京都中央区京橋3-5-3 京栄ビル B1F

電話03-3562-1305

https://g-tokyohumanite.com