丸谷才一のエッセイ集がなぜか好きで文庫版が出ると買ってすぐ読んでしまう。特別傑作というわけでもないのだが、丸谷の好奇心が私のそれと相似形なのかもしれない。文体はちょっとだけしつこくて気に入らないのだが。
それからいつもタイトルが変だと思う。丸谷は一人悦に入っているのだが、唐突でぶっきらぼうだ。今回の『人形のBWH』にしろ、『月とメロン』『双六で東海道』『猫のつもりが虎』『綾とりで天の川』なんて皆変だ。
さて、中に有名人の身長を列挙したところがある。
三島由紀夫 162cm
丸谷才一 165cm
ヒトラー 176cm
ロンメル 166cm
夏目漱石 158cm
森鴎外 161cm
徳田秋声 154cm
島崎藤村 154cm
芥川龍之介 165cm
石川啄木 158cm
高村光太郎 177cm
ラフカディオ・ハーン 156cm
永井荷風は180cm以上あったのではなかったか。
ついで中国古代の書『玉房秘結』を引用してこんなことを書いている。
男性は15歳で精力旺盛な人は、1日に2回、射精し、痩せた人は1日に1回いたします。20歳の人は1日に2回射精し、(20歳でも)痩せてきゃしゃな人は1日に1回にし、30歳で旺盛な人は1日に1回、体力の劣る者は2日に1回いたします。40歳で盛んな人は3日に1回射精し、虚の人(虚弱体質の人)は4日に1回いたします。50歳で盛んな人は5日に1回射精し、虚の人は10日に1回いたします。60歳で元気な人は、10日に1回射精し、虚の人は20日に1回いたします。70歳で元気な人は、30日に1回射精し、虚の人は射精しないようにいたします。
さらに、理想の女性像について書かれた『大清経』というのを紹介している。
『大清経』にいうには、
黄帝がいわれた。
「入相女人(=交接の相手として理想的な女性)とは、生まれつきすなおで気だても声もおとなしく、絹糸のように細くて艶のある真直ぐな黒髪がしっとり身に沿い、肌は柔らかく、骨は細く、背は高からず、低からず、太くもないし、少でもなくて、鏨孔(きっこう=膣)は高いのを求める。陰部には毛がなく、精液がたっぷりある者。年齢は五五(25)以上で30歳未満、出産したことがない者のことである。(これらがそなわった女性は)交接のときに愛液が流れ、身体が揺れ動いて自分ではそれを止めることができない。汗が四通(しつう)に流れ、男性のリードのままにふるまうので、男性は交接の道にのっとって行なわなくても、この女性を手に入れさえすれば(性交によって)身体をそこなうようなことはない」と。
こんなことを書き写したら女性に叱られてしまうのじゃないか。
さて、『玉房秘結』の記す性交回数に対して、佐藤優はロシア人の回数は「週16回」だと言っていた。
・絶倫のロシア人、淡泊な日本人(2007年8月10日)
ソ連版『戦争と平和』でナターシャを演じた女優リュドミラ・サベーリエワもこんなに過大な要求をするのだろうか。あの可憐な顔で・・・。
- 作者: 丸谷才一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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