劇作家サラ・ケインの病気

 鴎座フリンジ企画で演じられた『洗い清められ』の作者はイギリス人の劇作家サラ・ケインだ。サラを紹介する芝居のパンフレットより、

サラ・ケイン(Sarah Kane)
イギリス人作家。1971年エセックス州生まれ。プリストル大学を首席で卒業後、バーミンガム大学修士課程で劇作を学ぶ。23歳の時、問題作『ブラスティッド』(1995)でデビュー。ハロルド・ピンターエドワード・ボンドらから称賛を得る。劇5本と短編映画脚本1本を発表。鬱病により28歳で自死。現在彼女の戯曲は世界中で盛んに上演されている。2012年春、イギリスでサラ・ケイン演劇祭・国際学会が開催された。

 上記『洗い清められ』の中で、女主人公が地面に投げられたチョコレートをつぎつぎと24個食べるシーンがある。これは役者が実際に食べている。24個という数字は戯曲に書かれているとのことだ。終演後のトークショーで演出の川口智子が、この芝居はアウシュビッツをテーマにしていると語った。
 サラの略歴に彼女がうつ病で28歳で自死したとあり、劇中に大量のチョコレートを苦しんで食べるシーンがあることから、おそらくサラは摂食障害からうつ病になり、自死したものだろうと推測できる。
 摂食障害は拒食と過食を繰り返すのだが、拒食はもとより過食がこんなにも苦しいものだとはうかつにも芝居を見るまで気がつかなかった。
 サラの他の作品の上演も見てみたいと思う。