東京銀座のOギャラリーで沓澤貴子展「ありえた かけら」が開かれている(1月29日まで)。沓澤は1971年、静岡県生まれ、1996年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業し、1998年に同大学大学院油絵コースを修了している。2001年ガレリアラセンで初個展を開き、Oギャラリー、かわさきIBM市民文化ギャラリー、ギャラリー砂翁、櫻木画廊などで発表をしてきている。
今回も130号の大作が2点展示されている。そのうち縦長の青い色を主体にしたものが良かった。明るい青が全面に敷かれ、太く暗い濃紺の帯がJ字形に引かれ、Jの中に掬われるように濃い青色の色面が描かれている。左上に水面の反射のきらめきのような白が描かれている。ちょっとだけ野沢二郎の水面を描いたような作品を想起させる。しかし沓澤は具象的なものからは遠いところにいる。抽象的な形と色面で造形を追求していて、仮に水を連想したとしても、それは沓澤の意図からは外れているだろう。
ここに紹介した大作のほかに小品が並んでいたが、撮影してこなかった。沓澤は大学院修了後今年で19年になる。そろそろ大きな飛躍を期待したい。
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沓澤貴子展「ありえた かけら」
2017年1月23日(月)―1月29日(土)
12:00−20:00(日曜は11:00−16:00)
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Oギャラリー
東京都中央区銀座1-4-9 第一田村ビル3F
電話03-3567-7772
http://www4.big.or.jp/~ogallery/