ギャラリー由芽の山崎康譽展「-Marks-」を見る


 東京三鷹のぎゃらりー由芽で山崎康譽展「-Marks-」が開かれている(5月25日まで)。山崎は1952年東京生まれ、1978年に東京学芸大学大学院を修了している。その後バングラデシュ国立芸術大学へ留学してリトグラフを学んだ。1979年にバングラデシュダッカで初個展、日本では同じ年に画廊春秋で初個展を行っている。以来、ギャラリー千代田やギャラリー白百合で個展を開いているが、1993年からギャラリー汲美で個展を続けて11回に及んでいる。汲美が閉廊したのちは、ポルトリブレや由芽で個展を重ねている。由芽での個展は2012年に続いて2年ぶりだ。なお、名前の康譽は「やすたか」と読む。





 山崎は紙に油彩で描いている。今回は2012年のギャラリー由芽での個展と比べて、作品が自由で伸び伸びしているように感じられる。昨年3月で長年勤めた都立高校の教師を定年で辞めたという。そのことが作品に影響しているのだろうか。
 タイトルのMarks、マークは作品の中に描かれている記号を表している。一見欧文の文字のように見えるものも記号であって、意味の読み取れる文字ではない。文字は画家のサインだけだ。記号とは言いながら、実際に意味のとれるものはない。正確には記号に似た形なのだ。それは田舎ではなく都市としての街を象徴的に描いているように見える。あるいは近代ではない現代社会を視覚的に抽象したものだろうか。山崎の作品は、現代という現実の社会、その形、構造、現象を、観念ではなく具体的な図像にしているのかもしれない。少なくとも純粋な造形のための造形ではなく、現実の世界から汲み取られたイメージから造形しているのだろう。作品は激しさや声高なものとは無縁で繊細かつ静謐だ。画家その人によく似て落ちついた作品群だ。ギャラリーには静かな時間が流れている。
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山崎康譽展「-Marks-」
2014年5月10日(土)−5月25日(日)
12:00ー19:00(日曜日17:00まで)
木曜日休廊
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ぎゃらりー由芽
東京都三鷹市下連雀4-15-2-101
電話0422-47-5241
http://www1.parkcity.ne.jp/g-yume/
ぎゃらりー由芽はJR中央線三鷹駅南口から南に徒歩6分。中央通りを真っ直ぐ南下し、右手に佐野薬局のある交差点を左折してすぐ。