ぎゃらりー由芽の山崎康譽展「Marks」を見る

 東京三鷹のぎゃらりー由芽で山崎康譽展「Marks」が開かれている(9月23日まで)。山崎は1952年東京生まれ、1978年に東京学芸大学大学院を修了している。その後バングラデシュ国立芸術大学へ留学してリトグラフを学んだ。1979年にバングラデシュダッカで初個展、日本では同じ年に画廊春秋で初個展を行っている。以来、ギャラリー千代田やギャラリー白百合で個展を開いているが、1993年からギャラリー汲美で個展を続けて11回に及んでいる。汲美が閉廊したのちは、ポルトリブレや由芽で個展を重ねている。なお、名前の康譽は「やすたか」と読む。







 以前、山崎の作品について書いたことを再録する。
 タイトルのMarks、マークは作品の中に描かれている記号を表している。一見欧文の文字のように見えるものも記号であって、意味の読み取れる文字ではない。文字は画家のサインだけだ。記号とは言いながら、実際に意味のとれるものはない。正確には記号に似た形なのだ。それは田舎ではなく都市としての街を象徴的に描いているように見える。あるいは近代ではない現代社会を視覚的に抽象したものだろうか。山崎の作品は、現代という現実の社会、その形、構造、現象を、観念ではなく具体的な図像にしているのかもしれない。少なくとも純粋な造形のための造形ではなく、現実の世界から汲み取られたイメージから造形しているのだろう。作品は激しさや声高なものとは無縁で繊細かつ静謐だ。画家その人によく似て落ちついた作品群だ。ギャラリーには静かな時間が流れている。
 今回最初に掲げた写真の大きな作品が特に良かった。静的な作品が多い中でこれが動的な印象を与えるからだろうか。また山崎は青がきれいだ。
 ギャラリー由芽はJR三鷹駅南口から徒歩6分。木曜休廊なので要注意。
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山崎康譽展「-Marks-」
2018年9月8日(土)−9月23日(日)
12:00ー19:00(最終日17:00まで)
木曜日休廊
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ぎゃらりー由芽
東京都三鷹市下連雀4-15-2-101
電話0422-47-5241
http://galleryyume.web.fc2.com/